私は今から約6年前の怪我により、四肢麻痺となってしまい現在は車椅子生活をしています。その怪我の前は沖縄に移住し、大工をやっていました。沖縄で雇ってもらっていた会社というのは、一般的なハウスメーカーとは違い個人経営の設計事務所の下請けの大工職人というかたちでした。なので普通とは少し変わった内装だったのです。壁はRC造によるコンクリート打ちっぱなし、天井はオフィスで使うようなオーク柾目合板、床にはオークの無垢フローリングを良く使用していました。
栃木県から移住してきた私にとって、まずは沖縄の方言を憶えることから始めたのです。なぜかというと、私の親方が沖縄の人でも方言を良く使う人で、最初は何を言っているのか分からないくらいだったからです。なので親方の指示も良く聞き取れない状況を何とかしようと、沖縄の人に方言を一つ一つ教えてもらいました。そしてようやく方言を憶えたころに、その会社の大工のやり方を憶えていったのです。大工といってもそれぞれの会社、親方によって仕事の進め方、やり方が違うからです。
取り分け、一番最初に憶えていくのは床張りです。大引きをひいて根太を流し、その上に無垢フローリングを張っていくのですが、無垢フローリングというのはプリントではなく、木そのものなので加工の際キズがついてしまっているものがあります。そういったキズものを掃けてひたすらハンマーでたたき詰めながら、隙間無く張っていくのです。その後に天井、内壁、家具設置などを憶えていきました。今でも、たまにあのころ大工として働いていた自分の夢を見ることがあるのです。
